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加藤智大『解』を読んで 無差別殺人と報道のこと

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👨‍🎨「2008年の秋葉原事件に関して、犯人である加藤智大さんの書いた『解』を読みきりました。」

本は加藤智大さんが最高裁で死刑を言い渡される2か月前、2012年7月に発行されたものです。

読んでいて、このように犯罪について考え記している自分には知ることも多いですが、中でも犯罪と報道という面が大きく関わっているように思うので、そちらについて話します。

(こちらの本です。) 

加藤智大『解』

2008年6月に秋葉原で無差別殺傷を起こした加藤智大さん。

その後、2012年7月に加藤智大さんの著作として発行されたのが『解』です。

 

『解』では事件を起こすに至った心理を主観的に見つめ直し、記しています。

淡々とした調子で記されていますが、特に、事件がなりすましへの攻撃だったことが強調されています。

 

というのは、
掲示板の成りすましに対して怒りを感じ、行動を改めさせたいが、相手は分からないので攻撃はできない

事件を起こし、全国報道になることで、掲示板を使っていた相手に罪悪感を感じさせる、心理的攻撃をする

の流れの中で事件が起きたことを伝えようとしたものです。

 

本は、同じく孤独にある人など苦しんでいる人へと記されたものに感じます。

事件を起こしたことについて、彼なりに向き合っているように感じましたね。世間的な常識や遺族感情を考えると「なんだコイツは」と思う部分はあります。しかし、事件を起こした理由を探してしっかりとアプローチをしているなと感じました。

「秋葉原事件は止められた」加藤智大の手記から読み解く、現代社会の生きづらさ|日刊サイゾー

こちらは秋葉原事件に関して、本を執筆された中島岳志さんのコメントです。

私も同じで、つらい過去である事件に向き合い、執筆をしたこと読んでいて伝わりました。

淡々とした書き方が、むしろ感情を殺して書いていることを伝えているように思えます。

おそらく、同じく社会とのつながりに苦しみ、事件を起こす可能性のある人に対して執筆している、そんな本に私は思えました。

 

一方…

👨‍🎨「報道の真偽や内容の問題に関しては、強い口調で書いていました。」

犯罪と報道

供述の真偽

「誰でもよかった」と供述している。

 

無差別殺傷事件で必ずと言ってもいいほど報じられるわけですが、これに問題があるということが記されていました。

「供述した」とは「話した」の堅い表現ではなく、「供述調書が作成された」ということであり、必ずしも容疑者がそう話したとは限りません。

 

本当はなりすましへの攻撃という意味での犯罪でも、取り調べでは「誰でもよかったのか?」と聞かれる。
「はい」と答えれば、あたかも本人がそう大きく言ったかのように、「誰でもよかったと供述している」とマスコミが報道する。

 

他にも、「仕事上に問題があったとみて調査している」という確証のない情報が大きく報道されることや、嘘の目撃情報が真実として報じられているということも記されていました。

👨‍🎨「確かに、現場でこんな状況を見た、なんて言ってる人がいたら、真偽問わずすぐに報道されてるようにも思う…」

犯罪の伝わらなさ

やはり一人の人間が悩みや苦しみの中で起こしてしまった事件であることに間違いはありません。

しかし、先述の中島さんもこう話します。

――事件の当初から、この原因として派遣労働や格差社会などが語られてきました。しかし、本書を読み、事件までの彼の行動やその思考を追っていくと、そういった要因は一面的なものでしかないのでは、と思えてきます。

中島 事件当時、原因としてリーマン・ショック直前の派遣労働の問題や、“つながり”に代表されるような社会的包摂の問題、ネット社会の問題などが語られました。それらは、決して間違っているとは思いませんが、論者が自分の語りたいことを、この事件に仮託して語っていたにすぎないように思います。だから、彼が裁判で証言した、ネット掲示板の「なりすまし」に腹を立てて事件を起こしたという理由に誰もが納得できない。論者の側が設定した物語が完結しない。だから、誰も秋葉原事件を論じなくなってしまいました。おそらくなりすましに対するイラ立ちが、彼の直接的な動機であることは間違いないでしょう。この動機を受けて、この事件を解釈しなければならないと思います。

「秋葉原事件は止められた」加藤智大の手記から読み解く、現代社会の生きづらさ|日刊サイゾー

当時の人たちの多くが関心を持つように話題は作られます。

秋葉原事件問題の一つには、掲示板の成りすましにあるのですが…

これは現在にも起きている問題と思います。

 

2021年8月の小田急刺傷事件の際はフェミサイドが大きく報じられ、10月の京王線刺傷事件では映画ジョーカーとの関係や駅のホームドアが開かなかったことが大きく報じられています。事件はこれにとどまらない話だと思いますが…

(👨‍🎨「以下、私の書いた記事紹介です…」

magazineishida.hatenablog.com

magazineishida.hatenablog.com

無差別殺人が大きく報道されること

そして無差別殺人事件を起こしたことには、無差別事件が全国的に大きく報じられる、ということも関わっています。

 

毎日のように犯罪はあるが、ちょっと火事を起こしたぐらいでは、全国的なニュースにはならない…

無差別殺傷ぐらい大きな事件を起こせば誰かも分からない掲示板の人たちにも届く…

過去に無差別殺人事件が大きく報じられていた…

 

報道の在り方が、加藤智大さんを事件に向かわせた点があるのは否めないかもしれません。

 

 

事件・事故の報道の在り方について、今後さらに考えてみます。(毎回、こんな感じのことを言っていますが、知識欲と知識不足のためなのでお許しを…)

読んで頂き、ありがとうございました。

 

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